
2026年、私たちの視覚と心を彩る「今年の色」が発表されました。
色には、その時代の空気感や人々の願いが反映されています。しかし、トレンドカラーを知っているだけでは十分ではありません。重要なのは、その色が持つメッセージを理解し、適切な「印刷とデザイン」で形にすることです。
今回は、一般社団法人日本流行色協会(JAFCA)が発表した2026年の色「ハートフェルト・ピンク」と、PANTONE(パントン)が選出したカラーについて解説します。さらに、これらの淡く繊細な色合いを、実際の印刷物やパッケージデザインで効果的に表現するためのポイントを、特殊印刷を得意とする新晃社の視点でご紹介します。
1. JAFCAが選ぶ2026年の色「ハートフェルト・ピンク」とは
一般社団法人日本流行色協会(JAFCA)は、2026年の色として「ハートフェルト・ピンク(Heartfelt Pink)」を選定しました。まずはこの色が選ばれた背景を整理します。
「Heartfelt(ハートフェルト)」に込められた意味
「Heartfelt」という言葉には、「心からの」「誠実な」「深い思いやり」といった意味があります。直訳すれば「心(Heart)で感じられた(Felt)」となり、表面的な華やかさではなく、内側からじわりと湧き上がるような温かさを象徴しています。
JAFCAの発表によると、この色が選ばれた背景には、長引く社会的な不安や緊張感に対し、人々が「安心」や「幸福」を求めている心理があるといいます。2026年は、変化を恐れずに受け入れ、互いに優しくありたいという願いが、このピンクに込められています。
色の特徴とイメージ
「ハートフェルト・ピンク」は、ビビッドで強いピンクではありません。かといって、儚すぎるだけのペールピンクとも少し異なります。
「光が差し込むような、明るく多幸感に満ちたピンク」であり、見る人の心を解きほぐすような柔らかさを持っています。
キーワード:幸福感、優しさ、肯定、平和、リラックス、温もり
視覚的効果:緊張を和らげる、空間を明るくする、親しみやすさを演出する
攻撃的な主張をするのではなく、そっと寄り添い、空間や人の心を「満たす」色。これが2026年の基調となるカラーです。
参考・出典:一般社団法人日本流行色協会(JAFCA)
2. PANTONEが示す2026年の色は「Cloud Dancer」
一方、世界的な色の権威であるPANTONE(パントン)社が発表した「Color of the Year 2026」は、非常に驚きのある選出でした。選ばれたのは「Cloud Dancer(クラウド・ダンサー)」。なんと、「白(ホワイト)」です。
なぜ今、「白」なのか
歴代のパントン・カラー・オブ・ザ・イヤーにおいて、純粋な「白」が選ばれるのは極めて稀なことです。
「Cloud Dancer」は、雲が優雅に舞うような、軽やかでバランスの取れた白。これには、情報過多でノイズの多い現代社会において、「リセット」や「静寂」を求める強い意志が反映されています。
真っ白なキャンバスは、新しい始まりの象徴です。過去の思考やしがらみを取り払い、クリアな状態で未来を描く。そんな「精神的な余白」や「クラリティ(明晰さ)」が、2026年のグローバルなテーマとなっているのです。
参考・出典:PANTONE Color of the Year 2026
JAFCAとPANTONEの共通点
一見すると「ピンク」と「白」で異なる色選定に見えますが、その根底にあるメッセージは共通しています。
JAFCA(ピンク):心を満たす、優しさ、肯定
PANTONE(白):心を鎮める、静寂、リセット
どちらも、激しい刺激や対立ではなく、「内面的な平穏」や「ウェルビーイング(心身の健康)」にフォーカスしています。この2色は非常に相性が良く、組み合わせることで「洗練された優しさ」や「未来への静かな希望」を表現するパーフェクトな配色となります。
3. 2026年トレンドカラーを活かすデザインのポイント
では、これらのトレンドカラーを実際のビジネスやクリエイティブにどう取り入れるべきでしょうか。「ハートフェルト・ピンク」と「クラウド・ダンサー」を活かしたデザインのポイントを探ります。
ターゲットに「安心感」を与えるブランディング
2026年のトレンドカラーは、特に「ケア」「ライフスタイル」「美容」「食品」の分野で強力な武器になります。
例えば、企業のパンフレットやWebサイトの背景色に、従来の白ではなく、わずかに温かみのある「クラウド・ダンサー」系のオフホワイトを採用する。あるいは、アクセントカラーとして強烈な赤や青を使うのではなく、「ハートフェルト・ピンク」を採用することで、顧客に対して「私たちはあなたに寄り添います」という非言語のメッセージを伝えることができます。
素材感を重視した「触覚」のデザイン
これらの優しい色は、フラットな画面やツルツルの紙面よりも、「質感」のある素材と組み合わせることで、その真価を発揮します。
「ハートフェルト(心で感じる)」という名前の通り、視覚だけでなく「触覚」に訴えかけるアプローチが有効です。ざらっとした手触りの紙、ふわっとした布地のような加工。デジタルの冷たさを中和するような、アナログな温もりのあるデザインが2026年の主流になるでしょう。
4. 印刷物で2026トレンドカラーを美しく表現するポイント
ここからは、印刷のプロフェッショナルである新晃社の視点で、2026年のトレンドカラーを紙面やグッズで再現するための技術的なポイントを解説します。
実は、「ハートフェルト・ピンク」や「クラウド・ダンサー」のような「淡いパステルカラー」や「微妙なニュアンスの白」は、印刷における難易度が非常に高い色です。ただのCMYK(シアン・マゼンタ・イエロー・ブラック)の掛け合わせで印刷すると、色が沈んでしまったり、薄すぎて印象に残らなかったりすることがあります。
そこで役立つのが、新晃社が得意とする特殊印刷技術です。
ポイント1:特色印刷(4C+特色)を使用
ハートフェルト・ピンクのような淡いパステルカラーは、通常のCMYK(シアン・マゼンタ・イエロー・ブラック)の掛け合わせだけで印刷すると、どうしても色が沈んでくすんでしまったり、思った通りの色にならないことがあります。
このような繊細な色合いを表現するためには、「特色(スポットカラー)」を使用するのが効果的です。通常の4色印刷に特色を追加し、掛け合わせではなくベタ塗りで印刷することで、透明感と多幸感あふれる理想のピンクを紙の上にしっかりと再現することができます。
ポイント2:特殊紙と組み合わせてカラーを際立たせる
2026年のトレンドカラーは非常に淡く優しい色調であるため、あえて「紙地に色がある特殊紙」を選ぶのも、デザインを引き立てるテクニックの一つです。
真っ白な紙に淡いピンクを乗せるだけでなく、色や独特の風合いを持つ特殊紙をベースにし、そこに特色で印刷を行うことで、トレンドカラーの存在感をより一層目立たせることが可能です。
ポイント3:疑似エンボスと「さわりがみ」で触覚をデザイン
「ハートフェルト(心で感じる)」というテーマを印刷物で体現するには、視覚だけでなく「触覚」へのアプローチが欠かせません。
新晃社では、ツルツルとした光沢部分とザラザラとしたマット部分を一枚の紙の上で表現できる「疑似エンボス加工」や、紙本来の風合いを活かしつつ、より心地よい触感を生み出す独自の「さわりがみ加工」ご提供しています。淡いピンクの色合いに、思わず撫でたくなるような質感をプラスすることで、受け手の記憶に残る印刷物になります。
ポイント4:繊細な色調だからこそ「本機校正」のすすめ
トレンドカラーである淡いピンクやニュアンスの効いた白は、印刷時の環境や条件によって「色ブレ」が起こりやすい、非常にデリケートな色でもあります。
そのため、本番の印刷に入る前に、実際の印刷と同じ機械・同じ紙・同じインキを使用して試し刷りを行う「本機校正」を強くおすすめします。事前の本機校正でしっかりと色味の微調整を行うことで、「仕上がりがイメージと違った」というトラブルを防ぎ、思い描いた通りのトレンドカラーを確実にかたちにすることができます。
こんな印刷物におすすめ
- ・介護・福祉・医療業界のパンフレットや施設案内:緊張を和らげる優しいピンク色が、利用者やご家族に安心感と温もりを真っ直ぐに伝えます。
- ・服飾・アパレル業界のシーズンカタログやブランドブック:特殊紙や疑似エンボス加工で布地のような質感をプラスし、ブランドの世界観を直感的に訴求します。
- ・美容・コスメ業界のパッケージや商品リーフレット:白の清潔感とピンクの多幸感の組み合わせが、ウェルビーイングや肌本来の美しさを表現するのに最適です。
- ・ブライダル・ホテル業界の招待状やウェディングパンフレット:幸福を象徴するカラーと上質な手触りの加工で、受け取った瞬間に温かな感動を呼び起こします。
- ・食品・スイーツ業界のギフト箱やショッパー:箱を開けた瞬間に心が明るくなるような、多幸感あふれるクリアなピンク色がギフトシーンを彩ります。
まとめ:2026年の色は「優しさ」と「技術」でカタチにする
2026年のトレンドカラーである「ハートフェルト・ピンク」と「クラウド・ダンサー(白)」。
これらは単なる流行色にとどまらず、私たちがこれから迎える時代に必要な「心の平穏」と「前向きな希望」を象徴しています。
これらの色は、繊細だからこそ、表現力が問われる色でもあります。
「モニターで見たあの優しい色を、そのままパッケージにしたい」
「淡い色だけど、ぼやけさせずに存在感を出したい」
そんな想いをお持ちの方は、ぜひ新晃社にご相談ください。






