
チラシやパンフレット、名刺、ショップカードなどを作るとき、「もっとおしゃれに見せたいな」と思うことはないでしょうか。
 そんな時に大きな役割を果たすのが「フォント」です。文字の形や雰囲気ひとつで、デザインの印象はガラリと変わります。
今回は、プロのデザイナーにも多く愛用されているフォントサービス「Adobe Fonts(アドビフォンツ)」について、その魅力と上手な使い方をわかりやすくご紹介します。
Adobe Fontsとは
Adobe Fonts(旧Typekit)は、Adobeが提供するクラウド型のフォントサービスです。
 PhotoshopやIllustratorなど、Creative Cloud(CC)の契約者であれば、追加費用なしで数千種類のフォントを自由に使うことができます。
最大の特徴は、「フォントの管理がとても簡単」なことです。
 インストール作業は不要で、Creative Cloudアプリから気に入ったフォントをアクティベートするだけで、すぐに使えるようになります。
また、クラウドで管理されているため、複数のパソコンで同じフォント環境を再現できるのも便利なポイントです。
 「本社と出張先のPCそれぞれ両方で作業したい」「チーム全員で同じフォントを使いたい」といった場面でも活躍します。
フォントを選ぶときは、目的や雰囲気に合わせて探してみるのがおすすめです。
 和文・欧文ともにラインナップが豊富なので、きっとお気に入りの書体が見つかるはずです。
代表的な英語フォント
Adobe Fontsには、世界中のデザイナーから支持される英語フォント(欧文)が数多く収録されています。
 ここでは、印刷物でもWebでも使いやすい定番フォントをいくつか紹介します。

・Helvetica Neue(ヘルベチカ・ノイエ)
 シンプルでモダンなサンセリフ体。クセがなく、どんなデザインにもなじみやすい万能フォントです。

・Futura PT(フーツラ)
 幾何学的な形が特徴で、スタイリッシュな印象を与えます。洗練されたパンフレットの見出しなどにもぴったりです。

・Times New Roman(タイムズ・ニュー・ローマン)
 読みやすく、格式のあるセリフ体。文章量の多い印刷物や、落ち着いた雰囲気を出したいときにおすすめです。

・Bebas Neue(ベバス・ノイエ)
 太めでインパクトのある書体。ポスターや見出しなど、目を引きたい部分に使うと効果的です。
フォントにはそれぞれ個性があり、用途によって使い分けることでデザインが一気に引き締まります。
代表的な日本語フォント
Adobe Fontsでは日本語フォント(和文)も充実しています。
 デザインの制作に適したフォントが多く揃っており、プロの現場でもよく使われています。

・源ノ角ゴシック(Source Han Sans)
 GoogleとAdobeが共同開発したオープンソースフォント。スッキリとした印象で、どんな媒体にもなじみます。

・貂明朝(てんみんちょう)
 やわらかな筆の流れが美しい明朝体。女性向けのパンフレットや、上品さを出したいデザインにおすすめです。

・筑紫A丸ゴシック
 丸みを帯びた優しい雰囲気のフォント。カフェのメニューや子ども向けの冊子など、親しみを出したいときにぴったりです。

・FOT-ロダン
 しっかりとした線で読みやすい定番のゴシック体。見出しにも本文にも使える、バランスの良いフォントです。
この他にも安心感と完成度が高い多数のフォントを使えることが、Adobe Fontsの大きな強みといえるでしょう。
印刷物におすすめのAdobe Fonts
チラシやパンフレットなどの印刷物では、「読みやすさ」と「印象づけ」の両立が大切です。
 たとえば、タイトルにはインパクトのある書体を、本文には読みやすい書体をというように、目的ごとにフォントを使い分けるのがおすすめです。
具体的には、タイトルに「Bebas Neue」や「筑紫A丸ゴシック」を使うとデザインが引き締まり、
 本文には「源ノ角ゴシック」や「FOT-ロダン」を使うと安定感のあるレイアウトに仕上がります。
また、明朝体とゴシック体を組み合わせることで、紙面に動きや奥行きを出すこともできます。
 たとえば「貂明朝」で上品さを演出しつつ、「源ノ角ゴシック」で読みやすさを保つ、そんな組み合わせもおすすめです。
Webにも使用できるAdobe Fonts
Adobe Fontsは印刷物だけでなく、Webフォントとしても利用できます。
 Webサイトのデザインに統一感を出したいときに、とても便利です。
専用のコードをサイトに埋め込むだけで、ブラウザ上でもAdobe Fontsの書体を表示できます。
 ユーザーの端末環境に依存しないため、「誰が見ても同じデザイン」で表示できるのが大きなメリットです。
ただし、Webフォントをたくさん読み込むとページ表示が遅くなることもあるので、
 必要なフォントだけを選んで使うのがコツです。
ブランドサイトやポートフォリオサイトなど、「見た目の印象」が大切なWebページに特におすすめです。
使用範囲には注意が必要
Adobe Fontsは商用利用が可能ですが、使い方にはいくつかルールがあります。
 たとえば、フォントデータを他人に配布したり、フォントそのものを販売したりすることはできません。
また、クライアントや印刷会社に渡すデータにAdobe Fontsを使用している場合、
 相手がAdobe Fontsを契約していないと、フォントが置き換わってしまう可能性があります。
 そのため、入稿や納品時にはアウトライン化しておくのが安心です。
ルールを守って使えば、商業印刷や広告制作などでも問題なく利用できます。
 使う前に一度、Adobe公式サイトのライセンスに関するページや利用条件をチェックしておくと良いでしょう。
まとめ
フォントは、デザインの印象を左右する大切な要素です。
 同じレイアウトでも、フォントを変えるだけで「信頼感」「やさしさ」「高級感」など、伝わる印象がまったく違ってきます。
Adobe Fontsを使えば、そんなフォントの力を気軽に活かすことができます。
 クラウド上で管理でき、印刷にもWebにも対応できる便利なサービスなので、日々のデザインワークの強い味方になってくれるでしょう。
「もう少しデザインを良くしたい」「フォント選びに迷っている」
 そんな時は、ぜひAdobe Fontsをのぞいてみてください。
 きっと、あなたの作品を一段と引き立ててくれるフォントが見つかるはずです。
以上、Adobe Fontsの魅力と上手な使い方について解説しました。
新晃社では、フォントの選び方をはじめデザイン全般に関するご相談を承っております。フォントについてお悩みの場合はぜひお気軽にお問い合わせください。デザイン担当がフォントを含むデザインの提案から印刷加工までお客様のお悩みを解決いたします。







